新生活を前にPCをMacにするかWindowsにするかはとても重要な問題だ。
ぼくはこのFreenchyを運営しているブロガーであるのと同時に、本職ではシステムエンジニアをしていて、趣味では小説を書いていたりするのでPCとは毎日ラブラブしている、いわゆるギークに片足を突っ込んでいる。
平日の仕事ではWindowsをずっと使っているし、休日ではMacを使って様々な作業をしていてどちらも多くの時間一緒にしているので両方を理解している中間的な考えを持っている。
そんなぼくも大学生まではずっとWindowsだったし、なんとなく気になって買ったMacもあった。それがきっかけでApple沼にハマってしまったわけだけど。
とはいえ、PCは安いものではないし一度買えば数年くらいは使うことになると思う。なので今回は「これからPCを初めて買おうとしていて、MacとWindowsは何が違くて一体どっちを選んだら良いのかわからない人」へ、ぼくなりの考えをシェアしたいと思う。
春から大学生になる人や、初めてのPCを買おうと考えている人の参考になればと思う。
まずはWindowsとMacの違いをおさらい
そもそもの話、WindowsとMacはコンセプトが異なることを知っておくとこのあとの話がスムースになる。
めちゃくちゃ端折って紹介するのであれば、Windowsは開発者向け、Macは家庭用に作られたPC。
ちょーざっくりな違いを表にまとめてみたのでざっと見てほしい。
Mac | Windows | |
---|---|---|
企業 | Apple | Microsoft |
製作方法 | Appleのみ | 様々な企業 |
コンセプト | 普段使いできるPC | ゴリゴリ使えるPC |
ターゲット | 家庭 | ビジネス |
OSの特徴 | 誰でも簡単に操作できる | 自分好みに拡張できる |
もちろんこれはかなりざっくりとした表になるので他にも細々とした違いはあるわけだけれど、ざっくりとなんとなくわかっていれば全然大丈夫。
これを踏まえた上でMacとWindowsの違いをもう少し詳しく見ていこう。
製作方法の違い
WindowsとMacの違いの中でかなり大きいウェイトを占めているのは製作方法の違いだと思う。
あくまでWindowsを製作しているMicrosoftはOSを販売している会社なので厳密にいうとPCを作っているわけではない。
最近だとSarfaceっていう自社製作PCもあるよ!
つまりMicrosoftはPCの中身を売っている会社ということ。よくこの論争の中に登場するExcelとかPowerPointとかも作っているのはMicrosoftだけれど、感覚としてはそんなかんじ。
対してMacはAppleが一貫してOSからPC本体まで製作している。
自社で製作をすると何が良いかというとまず第一にコストを下げることができる。
製作的コストも下げることができるし、PCの中身のOSも知っている人が外側まで作っているわけだから製作のセキュリティ・リスクも下げることができる。
それに対してWindowsは色々な企業がWindowsのPCを作ることができる。ここに関してはちょっとした歴史的背景もあるので詳しくはそこで。
コンセプトの違い
MacとWindowsはそもそも生まれた経緯が違う。
もともとWindowsはWindowsが生まれる前のDOSというOSを引き継ぐ必要があった。
これはCUIと呼ばれる全部キーボードで操作する形態のOS。昔はマウスもなかったわけだから全部CUIでキーボードペチペチして操作をしていた。
そんなCUIのDOSの後継機がWindows。なのでCUIに慣れている人がWindowsを使うことが前提になっている。これは
キーボードで操作した方が早くね!?
というよりもその当時は「PCの操作といったらキーボードで行うもの」みたいな常識だった。なのでWindowsではキーボードで操作した時に一番快適になるようにセットアップされている。
これが一番わかるところというと確認画面だろう。
Macの確認画面は基本的に「取り消し処理」が一番最初に来ている。
対してWindowsは「実行処理」が一番最初だ。これは元々DOSからWindowsに移った人であればキーボードでペチペチ選択するのが前提で、そんな時一番遠くに次の作業に移る確定ボタンが遠いとそれだけ非効率になる。
対してMacは「よくわかっていないものはやらない方が良い」という理念に基づいている。
例えば削除処理。間違えて削除ボタンを押してしまって、さらに手が滑ってエンターを押してしまうとそれはいとも簡単に消えてしまう。そんなことはあってはならないというのがAppleの考え方だ。
Microsoftは削除ボタンを押している時点でそれは消したいわけだからいち早く消せた方が効率的だよね。こんな感じでコンセプトの違いは確認画面ひとつとっても如実にわかる。
- MacはPCに慣れていない人が使うことを想定している
- WindowsはPCに慣れている人が効率よく使えるように考えられている
ターゲットの違い
MacとWindowsはそもそもターゲットが違う。
コンセプトの違いでも話した通り、MacはあまりPCに慣れていない人向けに設計しているのに対して、Windowsは作業をとことん効率化させていきたい開発者向けに設計されている。
Macはクリエイター向け?
MacとWindowsを選ぶ際にもよく話題に上がるのが「Macはクリエイター向け」というもの。
デザイナーの人とかもよくMac使っているよね
動画編集や画像編集をするときにまず名が上がるようなPremiere ProやPhotoshop。YouTuberもみんなMacを使っているからクリエイターにはMacなんだろうと思う人も多い。
ただ実際にはちょっとしたMacとAdobeとの歴史があってこうなっているだけで、Windowsじゃクリエイティブなことができないのかというと全然そんなことない。
まずMacとAdobeのタッグが生まれたのはMacの入力と出力の差がめちゃくちゃ少なかったということ。
Windowsで画像編集をしていると感じる人も多いかと思うが、使うディスプレイによって画像の色味や表情が印刷をすると違って見える。
ぼくも星景写真などを撮ったりするのでよくわかるが、Windowsで編集したものをいざ印刷してみると実際よりも青っぽくなったりしてせっかく編集した星の色味が潰れてしまうことがある。
このような感じで見た感じと印刷したものが違うことがMacではほとんどない。
PCで見たまんまのものを印刷できる素直な表示と出力をするMacがAdobeと非常に相性が良かったためにほとんどニコイチ的に当時の印刷業を引っ張っていった形になる。
当時の印刷機で使われていたプログラム言語がMacと相性が良かったというのも理由のひとつ
あ! 何かと詳しい人だ!
Windowsが仕事で使われた理由
どんな仕事でも印刷関係のものは付きものだと思うけれど、今現在世界のシェアを席巻しているのはWindowsだ。むしろPCはWindowsしか触ったことないという人も多いかと思う。
こうなったのは色々あったみたいだが、単純な話DOSが普及していたから。で、Windowsが首位を走り続けられているのは単純に安いし拡張性が高いからという理由になるのだが、それじゃあ何で安くて拡張性が高いんだという話。
ここからはマーケティング的な話になるのだが、Windowsは拡張性の高さを売りにしてここまで上り詰めた。そしてその拡張性の高さというのはめちゃくちゃ当時のギーク(オタク)たちを興奮させまくったという背景がある。
Windowsが掲げている目標はdevice Independence(デバイス独立性)。ビル・ゲイツはPCひとつでなんでもできるようにするべきだと考えていたんだ
Microsoftが掲げるPCの理想は文書作成、表計算、プレゼンテーションから画像編集までなんでもこなせるようにするべきだと考えていた。
当時はスペック的な問題もあってこの構想はかなりぶっ飛んでいたがギークたちにはとにかくウケた。実際「あれもこれもできる!」ってギークたちが騒ぐので普段使いしているDOSを載せ替える&ギークたちが絶賛しているPCというダブルパンチでシェアをどんどんと獲得していった。
それにWindowsはあくまでOS(ソフトウェア)屋さんなのでハード面(ディスプレイとかキーボードとか)の生産は他社でもできるようにしたのもシェアを獲得した理由のひとつ。
他社がWindowsのPCを作るようになると技術的な部分では基本的に他を圧倒することはまずできないので価格で競争するようになる。そうなると必然的にWindowsのPCは安く手に入れることができるようになるわけ。
そうなると企業は基本的に消耗品であるPCは余程のことがない限り安価なものを選ぶようになる。安価なWindowsのPCを選ぶ企業が増えれば取引相手と同じ環境でないとやり取りが円滑に進まなくなることからWindowsのPCがほぼほぼ必須という状況になった。
そんなこんなでWindowsは企業で一番使われるPCになったわけ。
まずはニッチ層を狂乱させることがマーケティングの秘訣!
ビジネスとして成功を収めたMicrosoftなわけだけれど、生まれとしてはそもそも万人向けではなく”ある程度PCがわかる人”であることがわかっていただけただろうか。
と、いうわけで
こんな感じでMacとWindowsはそもそもの出発点から違っていたわけ。
気軽に誰でもPCを触れるようにと作っていたMacと、DOSを利用していたお客様に向けに作られたWindows。
同じPCといえどその誕生には全く違う方向を向いていたことがわかる。
ま、結局どっちもできることは今や大差ないね
それ言っちゃう?
OSの特徴の違い
ここまでの両者の違いから両者が何をコンセプトにしているかわかっていただけただろうか。
Macは万人向けのPCを作成していて、WindowsはあくまでPCを触れる人向けに作成してきた。
ここまでの背景を踏まえてそのコンセプトを汲んで作成された両者のOSの違いについてざっくりとまとめてみた。
- 誰でも簡単に使いやすい
- 面倒な設定はなしですぐに作業に移ることができる
- 直感的に操作しやすいように洗練されている
- 自分好みにカスタマイズしやすい
- 自分好みのデザインのPCを選べる
- ある程度PCがわかっている人だととことん効率化することができる
PCのスペックとしては両者ともできることに大差はない。
ただWindowsとMacは誰が使うことを想定しているのかを知ることは大切なことだと思う。それを知った上でどちらを選ぶかはあなた次第。
おまけ
Macはゲームができない
それとこれは重要な要素。
Macでは基本的にゲームを楽しむことができない。
大体のゲームの動作環境はWindowsが前提で作成されているからMacだと動かないことがほとんどで、さらにはゲームのグラフィックを表示するためのGPUをカスタマイズすることができないのも理由のひとつ。
最近だとMチップが出てきてしまった影響もあり、Macで動かせるメジャーなゲームは皆無だと思ってくれていい。
そんな……!?
とはいえもちろん解決策がないわけではない。
こういうクラウドサービスを使えばMacでもApexなどのゲームを楽しむことができる。
しかしながらこのGeForce NOW、単なるクラウドサービスになるのでFPSのようなコンマ秒を争うようなゲームには不向きであることは知っておこう。
こんなかんじで自分のMacからサーバーを遠隔操作しているだけなので、普通の人と比べて回線が一本多いイメージなわけだ。
なのでもうMacを買ったからにはゲーム断ちすると腹をくくった方が良いだろう。
投資をしたい人はWindows
投資関係は今やホットな話題。
そんなとき投資用のソフトは軒並みWindowsの方が安定しているので、PCで投資をしていこうと考えている人はWindowsがオススメ。
だけれど、自動売買とか24時間動かす系のものだったらVPS上のWindowsを動かすだけで十分。実際ぼくも投資をするときはMacでVPSを通してWindows上でやっているけれど問題ナシ。
ただ自分の手でやりたい裁量トレーダーは購入するPCはWindowsの方がいいかも。
投資用ソフトMT5とかはもうほとんどWindows専用みたいなもん
音楽関係をやるならMac
クラブなどでDJが曲をたおやかに変えていく様を見ているとき、ふとその視線の端にいつもMacがいることに気がつかないだろうか?
どうしてDJはMacを使うの?
これは音楽関係ならではの理由がある。
- 勝手にアップデートされない
- アプリのフリーズが少ない
- PCがフリーズしても曲自体は流れ続けることが多い
その場の空気とかノリを崩さないからMacが選ばれているのか!
で、結局どっちがオススメなの?
今までの紹介を踏まえて、じゃあ結局どっちがオススメなの? と言われればこんな感じになるかと思う。
- オリジナルの環境や設定があるひと
- ある程度操作に慣れているひと
- ゲームを楽しみたいひと
- とにかく使いやすいPCが欲しいひと
- クリエイティブに過ごしたいひと
- 作業に没頭できるPCが欲しいひと
こんなかんじでどう……?
個人的には大学時代にMacを買って良かったと思っている。
それはMacのデメリットでもある「ゲームができない」というのを逆手に取ったからで、大学生という無限にゲームができてしまう環境の中、あえてゲーム断ちをすることでブログの立ち上げ方だったりプログラミングだったり色々な勉強に時間を費やすことができたからだ。
そういう意味では大学生には是非ともMacをオススメしたい。
あえてゲームをできなくしている説!
もちろんこのほかにもそれぞれの魅力はたくさんある。もし「〇〇をしたいんですけどどっちの方が良いですか?」みたいなものがあったらぜひコメントしてほしい。内容によっては記事にしてまとめてみようとも思う。
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