山に登りたくなった。
ふと自然に身を沈めたくなって、気付けば山に見惚れている時間が増えてきた。
山に登ろうと思って色々調べた。すると「百名山」という括りがあるらしく100という数字も目標としてはちょうど良かったし、なんか景色も良いらしいのでもっと山が気になるようになってしまった。
決まってしまってからは早かった。まずは近場で百名山はどんなところがあるのかを調べてみると気になったところに「金峰山」という山を見つけた。
何でも初心者に易しいというところでデビュー戦はここで迎えることに。
金峰山とは
金峰山は長野と山梨にまたがっている一座で、「日本百名山」のひとつ。
金峰山に登るまでには鉄山・朝日岳と続き、朝日岳の登山口には大弛峠の駐車場がある。ここは日本一標高が高い駐車場とも呼ばれ、2365mに位置する。
金峰山は登山初心者にも易しい山と知られ、駐車場の標高も高いことから手軽に森林限界の絶景を眺められることでとても人気の高い山になっている。
登山道も整備されており、特に危険箇所も少なく、絶景とあるので大弛峠の駐車場はいつも満車だ。朝の段階だとすでに停めれないこともよくあるそうで、そうなると路上駐車で下まで続く羽目になってしまう。
早めに大弛峠まで行き、車内で仮眠をとって登山を開始するのがオススメ。
名前 | 金峰山 |
場所 | 甲府市・北杜市・長野県川上村にまたがってそびえ立つ |
標高 | 2599m |
難易度 | 登山道は舗装されていて易しい |
アクセス | 【自家用車】中央道勝沼ICから1時間40分・中央道一宮御坂ICから1時間30分 |
駐車場 | 大弛峠付近(30台程度) |
今回のコース
今回は朝日岳→鉄山→金峰山の大弛峠駐車場を利用する人では王道ルート。
一応これは片道の時間なので往復となればこれの倍がかかるものだと思って欲しい。
YAMAPで見てみるとコースタイムは2時間くらい。
距離も獲得標高もそこまで高くないので百名山のスタートとしては良い山なんじゃないかな。手軽に登れる山なのに森林限界もあるというお気軽に山の魅力に触れられそうな山、金峰山。
「金峰山」登山レポ ⛰️
初めての百名山。日本の数ある山の中で100に絞られた百名山。一体どんな景色が待っているんだろう。高鳴る胸を抑えられず、昨夜はあまり眠れなかった。
朝日岳
初めての登山。突き抜けるような青空。今日は「山の日」。山登りにはぴったりの陽気。
標高は高いけれど、木々が鬱蒼としていてしっとりと湿度を感じる。登山道は整備されているけれど、ところどころぬかるんでいる場所もあって、ゆっくりと慎重に進んでいく。
朝7:00くらい。ぼくの他にも登山客がちらほら。結構ラフな格好の人が多かったような気がする。あまり気負いせずに山登りできるのもこの金峰山の良いところなのかもしれない。
おしゃべりしながら歩く人、黙々と登る人、色々なスタイルがあるけれど、みんなが金峰山登頂を目指しているというところでは同じ船に乗る仲間のように思えた。
途中大きな岩があった。
周りは崖で迂回することはできそうにない。岩の凹みに足をかけて登るようにその岩を通過する。登山道とは舗装された道とはまるで違う。本当に自然の中にお邪魔させてもらっていることを実感する。
鉄山
しばらく登っていくうちに開けた場所に出た。ここからは金峰山の頂上にある五丈岩が遠くに見えた。調べたよりもずうっと大きそうな岩だった。これからあそこまでを目指して登っていくことに若干の不安を覚えながら。それと少しワクワクしながら。金峰山の道のりをイメージしてみる。
朝日岳を越えて、鉄山に向かう途中、急な下り坂のガレ場があった。平たい石のようなものが何層にも重なっていて、油断すると石同士が滑って転倒に繋がってしまいそうなところ。
この時間だともう金峰山から帰ってくる人も何人かいて、このガレ場を手と足を使いながらヒョイヒョイと登ってきていた。
ぼくも彼らのマネをしながら慎重に下ってみる。なるほど、足をしっかり地につければなんてことはなさそう。そんなことを思った矢先、ガラガラと音を立ててぼくが立っていた箇所の石の層が崩れた。危うく転がり落ちそうになりながらも、何とかバランスを立て直す。ここは少し危ないので自分が思っているよりもゆっくり進んだほうが良さそうだ。
ガレ場を過ぎてからはまた鬱蒼とした森の中をハイキングすることになる。
標高も高く、真夏日であるのにとても涼しい。時より吹く風は心地よい湿気をはらんでいて、優しくぼくの体を通り抜けた。
苔むした登山道を過ぎつつ、のんびりと登っていると急に視界が開けた。
森林限界だった。
金峰山
初めて森林限界を超えた先に辿り着いた。急に木々がなくなって、山の稜線があらわになる。吹き付ける風は強くなって、太陽の光も眩しくなった気がした。
強烈な出来事だった。これは体験した人にしかわからないと思うけれど、一気に視界が広がり、周りは山々の連続で、遠くには青々とした富士山が見える。
そして何より、森林限界を超えた先は無音そのものだった。
登山道を登っている間は鳥の鳴き声や、他の登山客のおしゃべりなど聞こえてきたものだったが、稜線に出た途端それらは吹き付ける風によってかき消され、全くの無音になった。
あるのは山梨と長野の山々、サラサラとした砂や石、強烈なコントラストと自分が森林限界を超えるような場所に立っているという達成感。
この初めての体験は登ってみた人にしかわからない言いようのない感動を覚えた。
しばらく稜線歩きを楽しんだあと、目の前に大きな岩の壁が現れる。
岩の間を縫うようにぼくは手と足を使って慎重に進む。ある人は岩の上に座って休憩をしている。またある人は岩の上によじ登って、また別の人は岩の下を潜るように進んでいった。
この岩場を超えると五丈岩が現れる。
自然にできたとは思えないその造形は確かに信仰の対象になるのも納得の姿だった。
登頂。金峰山の頂上。ここまで来た。百名山をひとつ踏破した。
それからは頂上にある岩のひとつに腰掛けて休憩をした。持ってきたバースナックはなんだか普段と違う味がした。
金峰山の頂上ではそれぞれが思い思いの休憩をとっている。クッカーで何かを作っている人。持ってきたサンドウィッチを食べる人、本当にそれぞれの過ごし方をしていたけれど、みんな五丈岩の方を向いていたのが印象的だった。
五丈岩は目の当たりにするととても神聖な岩だった。自然にできたとは思えぬ造形で、これが1000年も2000年も残っているというのだから面白い。
少し五丈岩に触れて挨拶をしてから金峰山を降りることにした。
帰りに山小屋で10円カレー食べた
この日は8月11日の”山の日”でなんと山小屋でカレーが10円で販売されていた。カレーが10円なのにコーヒーが400円という物価バグ。一人一杯までなので注意。
10円カレーといって舐めていたけれど、結構本格的なスパイスカレー。疲れた体にとても沁みた。
登ってみた感想
初めて山を登った。それも百名山に。
その達成感というか、実感というか、帰路に着く間にだんだんとその事実のかけらを自分の中で丁寧に咀嚼していく時に、やっと自分は金峰山の頂上に立ったこと。それと百名山チャレンジをスタートさせたこと。そういう新しい趣味の扉を開いたと再認識した。
まだ興奮して上手く物事が掴めていなかったけれど、あれから時間も経ってゆっくり思い返してみると色々と客観視できるようになってきた。
これから金峰山登る人へ ⚠️👀
これから金峰山をチャレンジしようと考えている方へ。
金峰山は初心者に易しい山だと言ってももちろん注意しなくちゃならないこともたくさんある。その中でもこれは知っておきたかったな、と思ったものをまとめておく。
駐車場問題 🚗
金峰山の登山道に一番近い駐車場は朝6時時点でもう満車になっていて、そこからずーっと下まで路上駐車が続いていくような感じだった。
金峰山の登山口一番近い駐車場は”一番標高が高いところ”にある(それ目当てで来る人も多いらしい)ので、路駐が続けば続くほど入山するまで余分に坂を登っていかなくちゃならない。できることなら駐車場に停めたいところだけれど、確実に停めるとなったら4時くらいまでには着いていたい。
あと、駐車場までの道中は舗装されているとはいえ道は狭い。駐車場の近場にキャンプ場があるからか、荷物をたくさん積めそうな大きい車が結構行き来するのでゆっくり走ろう。
もっというとこの山道に慣れている人が多いからか結構スピード出してくる人も多い。カーブが多い(むしろカーブしかない)見通しの悪い道なので、キープレフトで安全に。
あ、そうそう。結構しっかり山道なので落石とかもあったりする。ぼくが走っていた時もランドセルくらいの石が道中2個くらい落ちていたので、あまり人通り少ない夜だからといって油断しているといたい目に遭ってしまう。
金峰山は登るよりもこの駐車場へいくまでの道中が結構難易度高かったりする。
トイレは真っ暗
駐車場にはトイレもある。
ただ灯りは一切ないので、夜中に利用するときはヘッドライトなどを持っていった方が良い。
ただ駐車場では車中泊している人も多いのであまりウロウロするものよくないかも。
気軽に行ける距離にコンビニはない
これは分かりきっていることかもしれないけれど、金峰山の周りにはコンビニはない。
一番近いコンビニはファミリーマート塩山小屋敷店になる。
飲み物や食べ物の調達は金峰山の駐車場へ続く山道に入る前に済ませておかないといけないけれど、そもそもあの周り自体にコンビニが少ない。
一応大弛峠には大弛小屋という山小屋もあるので、買い忘れても安心。
百名山 1/100 ⛰️を終えて
自分の中ではほとんど初めてに近い登山体験で、それを金峰山で迎えられたのは大正解だったと思う。
森林限界や稜線歩き、百名山に小さいオコジョ。全ての出会いや体験が真新しすぎて、新鮮で、とても強烈だった。
実際に行ってみて自分の目で頂上からの絶景を見るというのがここまで素晴らしいことだとは知らなかった。どれだけ調べて、インターネットの画像を見たところでやっぱり自分の目で見る景色には敵わないんだと金峰山に登って強く実感した。
真夏であったのに頂上は何か羽織らないと寒いくらいで、太陽の日差しも眩しかったし、鳥のさえずりさえ聞こえない別世界はもう魅了されてしまった。
もし登山に興味がある人がいて、もし金峰山に登れるような場所に住んでいるのであれば本当にオススメ。登山デビューとしてここまで最適な山はないと思う。
みんなの登山デビューは何山でしたか?
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