びっくりするくらい暑い夏の連続だった。
それはもうとんでもないというか、もはや破茶滅茶で、エアコンのなかった時代がかつて存在していたことすら信じられないような死んでしまいそうな暑さが続く季節だった。
もはや海に涼を求めるのは虚しく、もっと実際的な、そして手近なものはないだろうか。
あ、そういえば「山」があるじゃん。
そんなこんなで2023年に入ってからぼくは「山登り」を始めてみた。それはもう素晴らしい体験で、もはや魅入られているといっても過言ではないくらいのハマりっぷり。かつてのジョージ・マロリーが「そこに山があるから」と言った意味も今では理解できてしまう。
さてさて、Freenchyの「山の話⛰️」のはじまりとして、タイトルの通り”ぼくが山に登るようになったキッカケ”を書いていこうと思う。
最初のキッカケはなんて事のない偶然の連続というか、それこそデスクの配線管理について調べていた時だった。
ケーブル隠しのGo Ando氏との出会い
山登りを始める前の始まり、ぼくはデスクに散らばっているケーブルにものすごく嫌気が差していて、どうにかできないものかとヒントを求めてネットの海を彷徨っていた。
そんな時にnoteで見かけたのがGo Ando氏で、彼はケーブル隠しというニッチな分野で究極のすっきりとしたデスクを作るのがとても上手く、ぼくもその多くのハウツーを真似したりした。
そんな彼の記事の中でひとつ「今年買ってよかったもの / 沈滞、そして再生への2020年」という記事がある。
この記事の中に載っている彼が写真で撮った美しい山々の写真を見て、かつて山に憧れていたあの時を思い出すことができた。
元々山登りには興味があったんだけれど、なんだか山に登るのって“遭難”だとか“熊”なんかのマイナスワードで二の足を踏んでいたワケで。だけど写真いっぱいに広がる山々の風景を自分の目で見ることができたらと思うとそんなことどうでも良いくらいに居ても立ってもいられなくなった。
昔の話だけれど、学生の頃ぶらぶら散歩をしていたら自衛隊の演習場に迷い込んだことがある。
だだっ広い高原のような場所でぼこぼこと小高い丘がいくつもあるような風景に衝撃を覚えて、こんなに広い場所に道路が一本もなくて、歩いても歩いてもずっと向こうまで丘が続いている風景は脳裏に焼きつくくらいぼくを興奮させた。
広くて、大きい景色がぼくは好きだった。自然の雄大さと、それにかかる時間の膨大さをダイレクトに感じることができるから。
そんな思い出をGo Ando氏の美しい山の写真に引っ張り出してもらい、再度山登りの火がフツフツと燃え始めたのだった。
ガレージ・ブランド「山と道」を知る
かのGo Ando氏が上記のお気に入りグッズ記事の中で「山と道」というガレージ・ブランドのザックを紹介していた。
まずそもそも”ガレージ・ブランド”が何なのか分からなかったぼくはそこから調べることになる。
簡単に言うところの新進気鋭のアウトドア・ブランドのことで、ことによる「山と道」はその中でも山登り、「UL」カルチャーそのものにフォーカスを当てている日本のガレージ・ブランドだってこと。
「UL」というのは「ウルトラ・ライト」の略称で、つまりは登山に持っていく道具は軽い方が良いよね! という考え方。なんだか登山と言えば重たいザックにゴテゴテの重装備だと思い込んでいたからこれにはかなり驚いた。
もっと登山は自由で良い。もっと山登りは身軽で良い。
そんなメッセージを「山と道」の姿勢から感じることができた。そうなると、ぼくの中で躊躇していた思いがそれこそ軽くなり、山に登ること自体がもっと気楽に思えるようになっていた。
「山と道」CEO夏目彰という人
「山と道」に強い衝撃を覚えたぼくはこのブランドのCEO、夏目彰氏についても調べてみることにした。
彼が傾倒しているのは登山というよりも”ハイキング”で、本場アメリカでも縦走(多くの山の頂上をなぞるように歩くこと)を達成してきた人物。
彼は自分がハイクをしていく中で「ハイキングに本当に必要なものは何か?」それを突き詰めていった時に既存のプロダクトでは満足いかないようになり、自分で作ってしまえ! そうして「山と道」を発足させたと。
そもそも夏目氏がどうしてここまで「UL」にこだわるのかというと、おそらく彼がバイブルとまで呼ぶソロー著の「森の生活」に何かヒントがあるのではないかと思い、ぼくも読んでみることにした。
ソロー「森の生活」を読んで
この本のレビューはまた今度することにして、ざっくりの内容を要約すると、
ソローの森の生活の記事を追加しました!
ひとつ注意してほしいことはシンプルにすることは決して無闇にモノを減らしたりすることではないってこと。
衣食住の最低限を満たすことがシンプルってわけではなく、自分は一体何が好きで、何に心躍るのか、そういう自分の居心地の良さを求めることがシンプルに繋がっていくって話で。
ぼく自身もこの色々なモノを作っては壊してする消費社会には疑問を持っていて、最近では長く使えるモノだったり、自然由来のモノを選ぶようにしている。
おそらく夏目氏もそういう風に社会を捉えていて、ソローの「森の生活」のシンプル・ライフを知って、ハイキングをもっとシンプルに捉えたら、と解釈して「UL」に辿り着いたんじゃないかと思う。
「UL」だとか「ミニマリズム」というのは単純に持ち物を少なくすることではなくって、優先順位を考え直すこと。
例えばウルトラ・ライト(UL)だったら、山を登る上で必要なのは不測の事態に備えること、ではなく道中の草花であったり、景色であったり、山そのものの魅力を楽しむだけの余裕がとても大切。
予備の水だとか食料だとかはもちろん必要だけれど、途中で水が汲める場所があれば、持っていく必要はないし、汲める場所がなくとも濾過器があれば全然へっちゃら。
荷物が軽いことは体力の温存につながるし、食料とかも追加で持ち運びすることもできる。
山登りを始めたキッカケ
もともと山(というか雄大な景色)が好きで、ウルトラ・ライト(UL)を知って山登りはもっと気楽に初めて良いものだと気づけて、今年の夏はあまりにも暑いから涼を求めて「山」に向かいましたってワケ。
キッカケはどんなことでも些細なものだと思うけれど、実際に登ってみると山登りが好きな人の気持ちがわかるくらいに山には魅力が溢れていた。
そのレビューはまた今度
とは言っても山登りを始める前にウルトラ・ライト(UL)の考え方を知れたおかげでぼくにとって山登りは人生、ひいては生き方においてとても大切な何かを気づかせてくれたと思っている。
大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、本当にそう思ったんだ。
「そこに山があるから」
理由は本当にこれだけなんだと思う。
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